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2023.02.23

ピロリ菌の除菌は成功したはずなのに、健診で陽性になりました…

髙橋 聡

髙橋 聡

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おおいまち消化器外科クリニック 院長の高橋です。

今回は、ピロリ菌の検査についてお話しします。

 

ピロリ菌の検査とは?

「健康診断で「胃炎」が指摘された」

「ご家族にピロリ菌感染の方がいる」

「昔から胃が弱い」など

様々な理由でピロリ菌の検査を希望される方がいらっしゃいます。

ピロリ菌は、胃がんや胃潰瘍など重大な胃の病気の原因となりますので、病状が進行する前にしっかりと治療する必要があります。

医療機関で行うピロリ菌の検査は6種類あります

それぞれの検査法に感度や特異度の違いがあり、胃の状態や内服歴、検査の目的によって最適な検査が異なります。

 

①血液抗体検査:血液中のピロリ菌の抗体を測定する検査です。

②尿素呼気試験:吐き出した息(呼吸)を紙バックの中に集めて調べる検査です。

③便中抗原検査:便の中にピロリ菌の成分があるか調べます。

④検鏡検査:胃カメラで胃の組織を採取し、顕微鏡でピロリ菌を直接観察する検査です。

⑤培養法:胃カメラで胃の組織を採取し、細菌培養を行なってピロリ菌の確認を行う検査です。

⑥ 迅速ウレアーゼ試験:胃カメラで胃の組織を採取し、ウレアーゼという酵素の活性を利用して調べる方法です。

 

ピロリ菌検査 注意する事は?

検診や人間ドックなどで一般的に行われているのは「血液抗体検査」です。

採血だけで調べる事ができる簡便な検査ですが、検査結果の判定に注意する必要があります。

 

「偽陽性」について

検診やドックは病気を見逃さないことが目的なので、少しでも怪しい場合は陽性となるような精度設定になっています。そのため、実際はピロリ菌がいないにも関わらず、陽性と判定される「偽陽性」の方が少なからずいらっしゃいます。

「血液抗体」が陽性の場合でも、胃カメラでピロリ菌感染の可能性が低い場合は、「尿素呼吸試験」など別の検査を行って、本当にピロリ菌がいるのかを確認する必要があります。

 

「除菌は成功したはずなのに、また陽性が出ました…」

ピロリ菌の除菌が成功した後、人間ドックの「血液抗体検査」で「陽性」判定が出た、とご相談を受けることがあります。

「血液抗体検査」は、ピロリ菌そのものを見ているわけではなく、ピロリ菌に反応して作られる「抗体」をみています。ピロリ菌がいなくなった後も、抗体はゼロにはなりませんので、除菌後に「血液抗体検査」を行うと、陽性になることが多いのです。

そのため、ピロリ菌の除菌後は「血液抗体検査」を行う意味はないとされています。

 

それぞれの検査の特徴を理解しながら適切な検査を行うことで、ピロリ菌の確認や、除菌を正確に行うことが出来ます。

内服中のお薬や、これまでの検査や治療によって、適切な検査が異なってきますので、ピロリ菌でお悩みの方は一度ご相談ください。