2024.11.30
ウイルス性胃腸炎に抗生剤は必要ですか??
髙橋 聡
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おおいまち消化器外科クリニック 院長の高橋です。
少しずつ気温も下がり季節の移り変わりを実感するようになってきました。
今回は、多くの方々が経験されるウイルス性胃腸炎について、その治療法と予防策をご説明いたします。
また、ご質問を受けることの多い「胃腸炎に抗生剤は必要?」という点についてもお話ししたいと思います。
ウイルス性胃腸炎の治し方
ウイルス性胃腸炎には特効薬がありませんが、心配する必要はありません。
私たちの身体にはウイルスに対する免疫力があります。
多くのウイルス性胃腸炎は特に治療を行わなくても自然に軽快します。
免疫力しっかりと発揮できるように環境を整えることが大切です。
1.
十分な休息をとり、身体に負担をかけないように気をつけましょう。
2.
脱水症状を防ぐため、少量ずつこまめに水分を摂取する様にしましょう。
経口補水液やスポーツドリンク、麦茶などが特に効果的です。
3.
症状が落ち着いてきたら、おかゆなど消化しやすい食事から始めましょう。
4. 吐き気や腹痛が強い場合は、
必要に応じて、吐き気止めや整腸剤などを使用することも有効です。
5. 通常は、7〜10日程度で自然に回復します。
焦らず、身体の回復を見守りましょう
予防するには?
ウイルス性胃腸炎は、基本的にウイルスが口から入ることで感染が成立します。
以下のポイントに注意して感染を予防しましょう。
• 手洗いをしっかりとする
• 調理器具を清潔に保ち、食べ物はしっかり加熱する
• 体調の悪い人との接触は控えめにしましょう
• 嘔吐物や便の処理は慎重に取り扱いましょう
乾燥した排泄物から感染する場合もあります
抗生剤について知っておきたいこと
ここで注意してほしいのが抗生剤の使用です。
実は、ウイルス性胃腸炎には抗生剤は効きません。
むしろ、不必要な抗生剤の使用はデメリットの方が大きいんです
抗生剤が必要なのは以下の様な場合です
• 細菌が原因の胃腸炎が疑われ、症状がとても重いケース
通常は細菌性胃腸炎であっても抗生剤は必要ありません。
腸管内の腸内細菌叢が破壊されることで、かえって治癒が遅れると考えられています
一般的に、高熱や血便が続くような重症腸炎の以外では適応はありません
• がんなどの悪性疾患で特に免疫力が低下している方の場合
不要な抗生剤使用のデメリットには:
• 薬が効きにくい菌が増える(耐性菌の発生)
• お腹の中の良い菌まで減ってしまう
• 副作用の心配
• 将来、本当に必要な時に効かなくなる可能性がでてくる
などがあります。
「念のため」という安易な使用は避けましょう。
症状が長引く場合は内視鏡検査を
胃腸炎の症状が長引く場合や、繰り返し発症する場合は他の消化器疾患の可能性も考えられます。
過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎の一部は、感染症を契機に発症している可能性が指摘されています。
そのような場合には、胃カメラや、大腸カメラなどの内視鏡検査をお勧めいたします。
おおいまち消化器外科クリニックでは、最新の内視鏡機器を用いて、安全で正確な検査を提供しております。
内視鏡検査により、胃や腸の状態を詳細に観察し、適切な診断と治療につなげることができます。
ご不安な点やご質問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。