2025.06.10
便秘症の治療薬について その2 モビコールってどんな薬?

髙橋 聡
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おおいまち消化器外科クリニック 院長の高橋です。
今回は、便秘症治療薬の中でも近年注目されているモビコールについてご説明します。
モビコールは便秘薬の中でも、近年になって保険適応となった薬剤で
特に自然に近い排便を目指す治療において大きな役割を果たしています。
国内外のガイドラインのエビデンスレベルも高く、米国では便秘症治療の第一選択となっている薬剤です。
Contents
モビコールの便秘に対する効果について
腸に水分を引き込む薬です
モビコールの有効成分は「ポリエチレングリコール(PEG)」という物質で、腸管内に水分を引き込むことで便を軟らかくします。
この薬は、化学的に腸を刺激するわけではなく、便を自然に近い形に戻す作用が特徴です。
同様の薬理作用を持つ酸化マグネシウムと比較して、より自然な感じの便が得られるという感想を持つ患者さんが多いです。
なぜ便秘改善につながるのでしょうか?
モビコールが腸管内に水を保つことで、便が固くならず、腸の通過もスムーズになります。
便が柔らかければ、腸の動きに合わせて直腸まで素早く移動しますし、肛門に届いたときに便意も感じやすくなります。
急に下痢になったときに我慢できない便意が生じるのと同じように
便が柔らかいほど排便の感覚は明確になるというのは、実感しやすいかと思います。
モビコールはこのように、腸や神経を刺激することなく、本来備わっている排便機能をサポートする薬です。
モビコールを使用する際の注意点
腎機能への影響は少なく、高齢者にも安心
モビコールは、酸化マグネシウムと異なり、体内に吸収されにくい薬剤です。
そのため、腎機能が低下している方でも比較的安全に使用できます。
ただし、過量に使用すると電解質バランス(特にナトリウム・カリウム)に
影響する可能性がありますので、指示された用量を守ることが大切です。
水に溶かして飲む工夫が必要
モビコールは粉薬で、水に溶かして服用する必要があります。
1包につき約60mLの水で溶解し、2〜4包を一度に服用することが一般的です。
塩味、ミネラル感が若干ありますので、
飲みにくいと感じる場合は、少し冷やした水やジュースに混ぜるのも一案です。
モビコールを使うタイミングは?
食前・食後にかかわらず使用できますが、毎日同じタイミングで継続的に使用することが重要です。
水に溶かす手間があるため、朝の時間帯や、就寝前など、生活のリズムに合わせて取り入れるのが良いでしょう。
まとめ
モビコールは、自然な排便リズムを取り戻すための、非刺激性で安全性の高い治療薬です。
腸や神経を無理に刺激することなく、ご自身の排便反射を活かした便通改善が期待できます。
特に、高齢者・腎機能に不安のある方・慢性便秘に悩む方にとって、非常に有用な選択肢となるでしょう。
便秘症は決して軽く考えるべきではありません。
生活の質を大きく低下させるだけでなく、大腸がんなどの重篤な病気が隠れていることもあります。
急な便秘、便の性状変化、血便などがある場合には、
ぜひ一度、おおいまち消化器外科クリニックまでご相談ください。
当院では、つらくない内視鏡検査・ポリープ切除も安全に行っています。