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2024.03.05

便秘を改善する生活習慣について考えてみましょう その1 「水分をしっかりとる」

髙橋 聡

髙橋 聡

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おおいまち消化器外科クリニックの院長 高橋です。

今回は、便秘と生活習慣についてお話しします。

 

便秘症は最も身近な消化器疾患の一つです。

大腸カメラなど内視鏡検査を検討されている患者さんから、相談を受けることの多い疾患です。

大腸がんなどの大きな疾患の初発症状となる事もありますので、突然発症した便秘症状には注意が必要です。

 

長年にわたり便秘に悩んでいる方は、薬に頼る治療ではなく

生活習慣を見直す事で改善しないかな、とお考えになると思います。

 

すぐに出来そうな事で思い浮かぶのは

「水分をしっかりとる」

「食物繊維をしっかりとる」

「運動する」

こういった対策ではないでしょうか?

 

便秘症の原因や、程度は人それぞれ異なるため一概には言えませんが

これからご紹介する3つの対策に効果が期待できるか、ご説明していきたいと思います。

 

今回は「水分をしっかりとる」についてです。

「水分をしっかりとる」

消化液はどれくらい分泌されるのでしょうか?

消化のために分泌される液体のことを消化液と言います。

唾液や胃液、腸液、その他の消化液を合わせると1日に9Lほどが分泌されています。

500mlのペットボトル18本分と思うと、だいぶ多いですよね。

人が1日に摂取する水分量は約2Lと言われていますので、

それを大幅に上回る量の消化液が分泌されています。

 

消化管の中を通過する水分の大部分は消化液であり、

摂取した水分量はそれより遥かに少ないという事が分かります。

 

水分はどこで吸収されているのでしょう?

摂取された水分は消化管で吸収され、その残りが便の中に排泄されます。

人の体の中で、水分摂取の中心的な役割を果たしているのは小腸です。

お食事などで摂取した水分は、食道や胃を通過して小腸に達しますが

小腸で全体の8割以上の水分が吸収されます。

その残りが大腸に届いて便の状態に関係します。

 

過剰な水分摂取に便秘改善効果はないと考えられています

つまり、頑張って水分摂取量を増やしても、

その量は体内で分泌される消化液よりも遥かに少なく

また、その水分も小腸で大部分が吸収されてしまうので、

大腸に届く水分、つまり便に含まれる水分量にほとんど影響がないと考えられています。

 

お水をたくさん飲んでみても尿の量は増加するけれど、排便にはあまり影響がないんですね。

 

実際に、各種の研究において、

脱水症になっている場合には、水分摂取で便秘症の改善は期待できるものの

脱水状態ではない方の便秘症に効果はなかったとの報告が見られます。

 

通常の日常生活、食生活を送っている方にとって

過剰な水分摂取は便秘症に効果がない、と考えられます。

 

では、次回は「食物繊維をしっかりとる」についてご説明します。

 

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