2024.04.03
便秘を改善する生活習慣を考えてみましょう その2 「食物繊維をしっかりとる」
髙橋 聡
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おおいまち消化器外科クリニックの院長 高橋です。
今回は、便秘症と生活習慣について その2 です。
食物繊維と排便の関係についてお話します。
「食物繊維をしっかりとる」
食物繊維の便に与える効果は?
食物繊維は消化されないので、そのまま大腸に到達します。
食物繊維は水分を含むことで大きな軟かい便を作ると考えられています。
一方で食物繊維の少ない食事は小さく硬い便の原因となります。
大きく柔らかな便は大腸の中を早く通過していくことが分かっています。
本邦の女性の便秘症患者さんを対象にした研究では
「米と豆の摂取が少ない方」
「お菓子とパンを沢山摂取する方」
に便秘が多いという結果が報告されています。
日本人の食生活において
お米が最も食物繊維を含んでいるからではないかと考えられます。
食物繊維で便秘は改善するの?
食物繊維に排便の改善効果があることは分かっていますが
便秘症の治療においては効果がまちまちであることが知られています。
食物繊維が不足している患者さんには効果が得られる一方で
過剰な食物繊維はかえって便秘症状を悪化させてしまうのです。
実際の医療現場では、個々の患者さんの食物繊維不足を確認することは難しいので、
まずは食物繊維を多めに摂るようにしてみて、
便秘症が改善するかを確認してみるというのが現実的です。
改善が見られない、もしくは便秘が悪化する場合には、
食物繊維不足が原因ではなかったと考えることができます。
便秘症に対する食物繊維の効果については、
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という諺がピッタリと当てはまりそうです。
食物繊維摂取量の増加で便秘の急激な悪化がみられる場合には
腫瘍による器質的な狭窄が原因となっている場合も考えられます。
その場合には、大腸カメラなど内視鏡検査による検査が有効です。
では、次回は「運動をする」についてご説明します。