2023.02.27
食道裂孔ヘルニアってどんな病気かご存知ですか?
髙橋 聡
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おおいまち消化器外科クリニックの院長 高橋です。
今回は、食道裂孔ヘルニアについてお話しします。
食道裂孔ヘルニアはどんな病気?
健康診断のバリウム検査や胃カメラで「食道裂孔ヘルニア」と診断されたけれど、どんな病気なのかな?と心配されている方は多いと思います。
「食道裂孔」とは横隔膜に開いている食道が通過する孔のことです。
横隔膜は胸部と腹部を分けている筋肉でできた膜のことです。胸部にある食道が、腹部にある胃へとつながっていくためには、横隔膜に開いた「食道裂孔」を通過しなくてはいけないのですね。
「食道裂孔ヘルニア」は、横隔膜の「食道裂孔」が大きく広がってしまい、本来腹部にある胃の一部が胸部へと脱出している病気のことです。
胃カメラで、胃の中から食道側を見上げることで、大きく広がった「食道裂孔」に胃が脱出している状態を確認することができます。
食道裂孔ヘルニアの原因は?
以前は、食道裂孔ヘルニアは加齢によって横隔膜の筋肉が弱くなって発生する高齢者の病気と言われていました。ところが、最近は高齢者だけではなく、若い年代の方にも多く見られるようになってきました。明確なメカニズムはまだわかっていませんが、肥満や、夜食習慣による腹腔内圧の上昇や、繰り返す食道炎によって食道が短縮すること、などいろいろな原因が推察されています。
食道裂孔ヘルニアの症状は?
食道裂孔ヘルニアそのものはゲップが出やすいなどの軽い症状が殆どです。
稀ではありますが、とても大きな食道裂孔ヘルニアでは、胸部に迫り出した大きなヘルニアによって、心臓や肺が圧迫されて呼吸苦などの症状が見られることもあります。
実際に診療で、「食道裂孔ヘルニア」が問題になるのは逆流性食道炎の原因となる点です。
なかなか治癒しない、再発を繰り返す逆流性食道炎の患者さんは「食道裂孔ヘルニア」を合併していることが少なくありません。
逆流性食道炎
食道裂孔ヘルニアの治療は?
食道裂孔ヘルニアそのもの症状がない場合には、特に治療の必要はありません。
難治性の逆流性食道炎の原因となっている場合に、確実な胃食道逆流の防止を目的として外科治療を行うことがあります。噴門形成手術といって、胸腔内に脱出した胃をお腹の中に引き戻して、大きく広がった食道裂孔を縫い縮め流術式が選択されます。近年、胃カメラで、食道裂孔ヘルニアの逆流を防止する治療も行われるようになってきてきました。外科手術より身体への負担が少ないことが大きなメリットであり、注目されています。